作詞の意

東雲の光の如き純粋性、五月の若葉の如き柔軟性、風の凛洌にも逞しく立ち向かう可能性への挑戦、これらは若者の特質である。それらは叡知の力であり、真事の心であり、又、創造の精神となる。本校の校訓である「正義・友愛・前進」もここに発する。

 光は知を象徴し、雪は情を、風は意を象徴するものである。知・情・意はそれぞれに対立概念であるが、人間形成の道はこれを統合し止揚して豊かな人間性を目指すことでなければならない。一章を天地の軸とし、二章を社会的存在としてのひろがりの軸とし、三章を歴史的存在として未来へ懸ける軸として立体的な構成とした。校歌は努めて三章までうたうようにしてほしいものである。

 一章には創造の感動と決意がこめられている。叡の文字を用いたのは深慮な道理を悟り得るすぐれた才知をとの考えである。二章には本校に学ぶものの絆と其の喜びを、三章は開拓者精神を践んで未来の創造に努めることの意である。吹かば吹けの句は、帯広開拓の先駆者依田勉三のうた゛ますらをが心定めし北の海 風吹かば吹け浪立たば立て゛からとった。仰ぎて高し、学びて深し、励みて潔し、これらは緑陽の姿そのものであり、緑陽精神そのものにほかならない。

 五・七とし七・七として格調ある声調としたのは、校歌のもつ重さを考えたからであり、常用漢字を超える所のあるのも同様である。

 創業二年有半、構想を一挙に表白して作詞した。ねがわくば理想の高邁を目指すすぐれた人材の育成に資するところあることを。


作詞 黒沼 友一 氏

帯広緑陽高等学校初代校長
日本大学法学部卒 道教委指導主事、国立大雪青年の家専門職員・事業課長、第1回総理府青年の船教官、洞爺高校・上士幌高校長、昭和60年3月帯広緑陽高校長にて退職。
同年5月より日中文化交流のため道より黒龍江省に派遣され黒龍江大学文教専家として、日本語教育に携わり61年1月帰国、幕別町教育委員長、帯広市教育振興会会長、全十勝剣道連盟副会長などを歴任。日本水連第1種指導員、アララギ派歌人、日本現代詩歌文学館評議員。
平成7年11月、勲四等瑞宝章受章


作曲  景山 齊 氏

帯広南町中学校初代校長
北海道第三師範研究科卒、黒石小学校長、道教委十勝地方教育局音楽指導員・指導主事、高島・川西・帯広第六中学校長、帯広南町中学校長にて退職。
その間、全国教育音楽北海道地区理事、NHK音楽コンクール審査員・HBC楽器コンクール審査員、帯広柏葉高・音更高・士幌高・芽室高校等の音楽講師を勤める。法務省人権擁護委員、小中学校の校歌を始め青年・婦人会歌・町村歌・音頭等、数百曲を作曲。